京鴨ロースの串焼き
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京都の山城農産から、もも肉と胸肉のセットをクール便で送ってもらう京鴨。
送られたものは、もも肉と手羽元肉はひき肉にして京鴨つくねに。
ロースの部分は串焼きに仕込みますが、一部は丸のまま表面を焼き、桜のチップで燻製にします。

京鴨のロースの串焼きを作るときは、まず皮と肉の部分を分け、肉身から筋と血管を完全に取り除いて、脂を削ぎ落とした皮で巻き込むようにして串に刺しますが、厚みを出すために直径2センチ近い太めの長葱を間に挟みます。
皮側は香ばしく、中は焼き過ぎないようにジューシーに焼き上げ、最後に鴨肉の風味と相性の良い粉山椒を振ってあります。
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京鴨は合鴨として日本でも最高レベルの品質に仕上げるために、飼育環境や飼料にこだわって他に例がないほど衛生的に育てられています。
そのために鴨肉特有の臭さはほとんど無く、旨みもとても多い味わいですが、やはり価格もそれなりに高くなってしまうのは仕方がないことです。
当店は15年以上前から定期的に取引しているので、安定的に供給していただいていますが、最近需要が非常に増加しているようで、新規の注文に応じることが難しくなり、山城農産では生産体制を見直し増産を始めたようです。

最近の食に対する傾向は、ネットの広がりやテレビなどのマスコミの低レベルで表面的な演出や思考操作により、本質よりも見た目の注目度に流れていると感じていましたが、やはり本物を正しい調理方法で提供しているところは業績も良く、それが京鴨の注文増加に結びついているかもしれません。
時代に流されるのは若年層が中心で、人間のエゴを利用した商売としての食べ放題などの量と低価格を売りにした提供方法は、欲の深い一部の人だけが喜んでいるのでしょう。

人が食べ物を摂取するということは単にカロリーを摂取し、ただ命を繋ぐだけの行為ではなく、食べ物(素材)の持っているエネルギーを利用して肉体形成や、精神の育成に利用していると僕は考えてます。
素材が持つ物質としての意味だけでなく、すべての生物が持つその命というエネルギーにこそ意味があり、それを頂くことが人間の滋養になっているのです。
人間は機械で作り出したサプリメントのように、人間が認識できている科学的な成分だけの摂取では長く生きることはできません。
生命エネルギーは減退し、免疫力は弱まって病気や感染症にかかりやすくなり、生きる気力も失っていくのです。

そして本来、野菜でも魚や鶏、豚や牛など全ての生命が、自分が生きるために必死に作り上げているその体を、人間が自分の都合で利用するわけですから、それらに対し感謝の気持ちを持たなければならないはずです。
しかし、昔の日本人が当然のように行なっていた食事を頂くときの自然に対する感謝の気持ちは、経済成長とともに現代では完全に失われ、いつの間にか食事はエンターテインメントになってしまいました。

今、優れた料理人と言われる人は、奇抜な食材を探し出し、目で見る艶やかさと、口に入れた瞬間だけの感動を作り出すことができる人になり、僕のようにそのような行為に異を唱える人は、社会からひとりもいなくなってしまったのかもしれません。
日本に無い珍しい食材を、色味だけを考えてデザインするように調理することが評価される現代の飲食業界は、僕は非常に違和感を感じてます。

しかし、本来、料理の本質は素材の表現であるべきで、その素材が持つエネルギーをいかに劣化させることなく、無駄な時間をかけずに素早く摂取しやすい形に調理して、提供できるかこそが最も重要なはずです。
できるだけ自分が住むその風土に根ざした昔から続く食材を、その大地のミネラルが多く含まれる海水から作った塩を使い、たくさん採れる旬の時期に、できるだけシンプルに調理することこそ、エネルギーやミネラルが失われることなく体内に摂取できる最良の調理方法なのです。

特に近年は西洋の自然を敵と捉え、自然全てを支配しようと考える左脳的思考が日本でもすでに常識となり、多くの人の共感を得るエンターテイメントこそが重要だと考える自然に感謝できない現代社会は、僕にはそれほど長く持続出来るとは思えません。


|09:17:14|京鴨 | comment(0) | trackback(0)
京鴨ロースの燻製のカルパッチョ
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京都の山城農産が自社で孵化から飼育までおこなう京鴨。
ソフトウッドを敷き詰めた清潔な環境で育てた鴨肉は鴨特有の臭みを感じさせない非常に旨味の強い味わいです。
皮に串で穴をあけ、海の精の塩を揉み込んだ後、30分ほど風に晒し、焼き台で弱火でじっくりと皮目を焼き、強火で中がロゼになるように肉目の方を焼きあげてます。
そのあと扇風機で急速に冷まし、茶箱を使った自家製のスモーカーで氷で冷ましながら桜のスモークウッドで燻製にします。
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フランス産の鴨より赤味の濃い京鴨ロースの燻製。
スライスした京鴨の燻製に、フレンチドレッシングにレモン、オリーブオイルを加えたソースをかけて、クレソンを散らしたカルパッチョ。
ブルゴーニュの赤ワインともよく合います。
|09:10:27|京鴨 | comment(0) | trackback(0)
ジュンサイとトマトの八丁味噌仕立て
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今年も初夏になると秋田からジュンサイが送られてきます。
8月頃までしか収穫できないこの時期だけの山菜で、秋田県の三種町周辺が日本一の産地。
最近は純粋な天然モノは殆ど無く、ほとんどが減反による休耕地を沼にして栽培をしているようです。

酸味のある今が旬のハウストマトと共に、八丁味噌を出汁で伸ばしたつけ汁をかけました。
この時期だけしか味わえない、自然なジュンサイ独特の食感をお楽しみ下さい。
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新物の出始めは赤茶色をしていますが、茹でると鮮やかなグリーンに変わります。
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|09:19:50|季節のメニュー | comment(0) | trackback(0)
6月のランチ
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6月に入り気温も上昇し、夏らしい空気が広がってきました。
店頭に並ぶ野菜も山菜中心の春野菜から、夏らしい果菜類が占めるようになりました。
そんな6月のランチメニューは。
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秋田県三種町から取り寄せているジュンサイと、トマトの冷製味噌仕立て。
八丁味噌を出汁で伸ばし味醂を少量加え濃厚な味わいに仕上げました。針生姜を添えて。
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冬瓜の含め煮、胡麻味噌のせ。
沖縄産の冬瓜を濃いめに引いた本枯れ節と羅臼昆布の出汁で煮含め、よく摺った黒胡麻を練った西京味噌合わせた胡麻味噌を乗せました。千切りの茗荷がアクセントです。
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お握りは旬の玉蜀黍を醤油をつけて焼き、刻んだ大葉とお握りにしました。
もう一つは玄米の焼きお握りか青唐味噌と塩結び。
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とても評判の良い今月の汁は、新牛蒡と絹さやのすまし汁。
新牛蒡は薄目の笹がきにして昆布出汁で2分ほど火を通します。
筋を取った絹さやを加え、さらに1分半ほど炊けば出来上がりです。
味付けは160ccの出汁に対し塩小さじ2分の1、醤油大さじ半分。最後に粉山椒を振ります。
食事の後に情宣茶と自家製羊羹。
|09:36:52|ランチ | comment(0) | trackback(0)
ボンヌ・マール2004 ドメーヌ・ルイ・ジャド
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ボンヌ・マール2004 ドメーヌ・ルイ・ジャド。
ボージョレからグラン・クリュまで数多くのワインを手がける、歴史のあるブルゴーニュの有名なドメーヌ&ネゴシアン。
DRCやルロア、アルマン・ルソーのようにメディアが過大評価するために、価格が異常に急騰した造り手ではなく、どちらかというと昔からのブルゴーニュファンがじっくりとセラーで寝かしてから楽しむといったタイプの造り手です。

ルイ・ジャドといえば2012年に実践から引退したジャック・ラルディエールの存在で、1970年から最高醸造責任者としてジャドの指揮を取っていました。
ルイ・ジャドのドメーヌものは、ラベルに表記していませんが初期の頃から自然農法を実践して、表土は常に馬で耕作をしています。
100%除梗を行ない、低温浸漬は基本的には行わす、発酵温度もブドウが求めるままに管理せず、ルモンタージュも行わず、ごくごく自然にブドウのポテンシャルに任せてゆっくりと時間をかけて発酵、醸造を行います。
オーク新樽比率は最大で50%程度と、人気ワインのように無理に新樽の風味をつけることもしません。

ワインとはブドウが育つ土壌のエネルギーの表現であり、醸造とは持ち合わせているエネルギーをいかに最大限引き出せるかと考え、自然体にまかせる醸造スタイルは一歩間違えるとかなりのリスクを孕むはずですが、ルイ・ジャドのワインはヴィンテージに左右されることなく常に非凡庸なワインに仕上がっていると僕は思っています。
そして、上質なブルゴーニュは絶対に熟成させてから飲むものであるとジャック・ラルディエールは考え、早い時期から飲み易くするような市場や評論家に媚びたようなワインには絶対に仕上げません。

そして04のボンヌ・マール。
ジャドのボンヌ・マールには、ドメーヌものと葡萄を買い付けるネゴシアンものがありますが、これはラベルの一番下を見れば書いてありますが、自社で栽培を手がけたドメーヌもの。
外観は中庸なルビー系で、粘性は十分に高く凝縮感があります。
野性的で熟成からくるなめし革のニュアンスがまず前面に現れて、徐々に華やかな完熟したダークチェリーやイチゴの甘露な果実味が強く広がります。
全体として要素が非常に凝縮しており、十分なミネラル感もあり酸、味もタンニンもきりっと引き締まっています。
強靱なパワフルさを感じる巨大なストラクチャーを持っており、余韻はシャンベルタンに匹敵するような長さが続きます。
初めてのボンヌ・マールでしたが、ミュジニーの魅惑的で華やかな香りと隣のクロ・ド・ラ・ロシュやシャンベルタンにも匹敵する強靭さを持ち合わせたスタイルに、驚きとともに深く感動してしまいました。
これも、ジャック・ラルディエールの並はずれた理解力からくる、テロワールの本質を引き出す醸造テクニックによるもなのでしょう。

ジャック・ラルディエールは語ります。
「ブルゴーニュの土壌の断面をみると、第二紀(中生代)の地層の上に第三紀(約6500万年~200万年前)が形成されていて、地殻変動によってできた裂け目からエネルギーが噴出しています。岩と岩がこすれると電気がおこり、その熱によって土中のバクテリアや菌類が母岩を分解してミネラルを引き出します。」
「すなわち、地中からのエネルギーやミネラルの放出の強い場所がブルゴーニュでグラン・クリュと呼ばれる場所であり、そこから離れれば離れるほどエネルギーは弱まっていく。」

さらに、「ブルゴーニュの場合、エネルギーが噴出するところは、葡萄だけでなく他の植物にとっても最高の場所であり、多くの場合そこには教会も建っています。
地中のエネルギーと天体のエネルギーが合体するのがその地点で、それらが重なると素晴らしい結果が生まれ、そこで作られたものを飲んだり食べたりすることで、体内に優れたエネルギーを取り込むことができます。
体のメカニズムとして取り込まれたものは消化されますが、この時、不純物は浄化され、ピュアなものだけが吸収されます。それを“ポリマー化”と表現します。」

ジャック・ラルディエールは、すべての物質に目に見えないけれど確かに影響を与えているエネルギーの存在を理解できる、数少ない一人なのでしょう。
|09:32:37|ワイン | comment(0) | trackback(0)