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ボンヌ・マール2004 ドメーヌ・ルイ・ジャド
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ボンヌ・マール2004 ドメーヌ・ルイ・ジャド。
ボージョレからグラン・クリュまで数多くのワインを手がける、歴史のあるブルゴーニュの有名なドメーヌ&ネゴシアン。
DRCやルロア、アルマン・ルソーのようにメディアが過大評価するために、価格が異常に急騰した造り手ではなく、どちらかというと昔からのブルゴーニュファンがじっくりとセラーで寝かしてから楽しむといったタイプの造り手です。

ルイ・ジャドといえば2012年に実践から引退したジャック・ラルディエールの存在で、1970年から最高醸造責任者としてジャドの指揮を取っていました。
ルイ・ジャドのドメーヌものは、ラベルに表記していませんが初期の頃から自然農法を実践して、表土は常に馬で耕作をしています。
100%除梗を行ない、低温浸漬は基本的には行わす、発酵温度もブドウが求めるままに管理せず、ルモンタージュも行わず、ごくごく自然にブドウのポテンシャルに任せてゆっくりと時間をかけて発酵、醸造を行います。
オーク新樽比率は最大で50%程度と、人気ワインのように無理に新樽の風味をつけることもしません。

ワインとはブドウが育つ土壌のエネルギーの表現であり、醸造とは持ち合わせているエネルギーをいかに最大限引き出せるかと考え、自然体にまかせる醸造スタイルは一歩間違えるとかなりのリスクを孕むはずですが、ルイ・ジャドのワインはヴィンテージに左右されることなく常に非凡庸なワインに仕上がっていると僕は思っています。
そして、上質なブルゴーニュは絶対に熟成させてから飲むものであるとジャック・ラルディエールは考え、早い時期から飲み易くするような市場や評論家に媚びたようなワインには絶対に仕上げません。

そして04のボンヌ・マール。
ジャドのボンヌ・マールには、ドメーヌものと葡萄を買い付けるネゴシアンものがありますが、これはラベルの一番下を見れば書いてありますが、自社で栽培を手がけたドメーヌもの。
外観は中庸なルビー系で、粘性は十分に高く凝縮感があります。
野性的で熟成からくるなめし革のニュアンスがまず前面に現れて、徐々に華やかな完熟したダークチェリーやイチゴの甘露な果実味が強く広がります。
全体として要素が非常に凝縮しており、十分なミネラル感もあり酸、味もタンニンもきりっと引き締まっています。
強靱なパワフルさを感じる巨大なストラクチャーを持っており、余韻はシャンベルタンに匹敵するような長さが続きます。
初めてのボンヌ・マールでしたが、ミュジニーの魅惑的で華やかな香りと隣のクロ・ド・ラ・ロシュやシャンベルタンにも匹敵する強靭さを持ち合わせたスタイルに、驚きとともに深く感動してしまいました。
これも、ジャック・ラルディエールの並はずれた理解力からくる、テロワールの本質を引き出す醸造テクニックによるもなのでしょう。

ジャック・ラルディエールは語ります。
「ブルゴーニュの土壌の断面をみると、第二紀(中生代)の地層の上に第三紀(約6500万年~200万年前)が形成されていて、地殻変動によってできた裂け目からエネルギーが噴出しています。岩と岩がこすれると電気がおこり、その熱によって土中のバクテリアや菌類が母岩を分解してミネラルを引き出します。」
「すなわち、地中からのエネルギーやミネラルの放出の強い場所がブルゴーニュでグラン・クリュと呼ばれる場所であり、そこから離れれば離れるほどエネルギーは弱まっていく。」

さらに、「ブルゴーニュの場合、エネルギーが噴出するところは、葡萄だけでなく他の植物にとっても最高の場所であり、多くの場合そこには教会も建っています。
地中のエネルギーと天体のエネルギーが合体するのがその地点で、それらが重なると素晴らしい結果が生まれ、そこで作られたものを飲んだり食べたりすることで、体内に優れたエネルギーを取り込むことができます。
体のメカニズムとして取り込まれたものは消化されますが、この時、不純物は浄化され、ピュアなものだけが吸収されます。それを“ポリマー化”と表現します。」

ジャック・ラルディエールは、すべての物質に目に見えないけれど確かに影響を与えているエネルギーの存在を理解できる、数少ない一人なのでしょう。
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|09:32:37|ワイン | comment(0) | trackback(0)